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内容紹介(Amazon)

行き倒れている少女に水を飲ませたことが、この町の分岐点だった。 
「何もない」東北の田舎町で、人知れず闘った高校生たちの物語。

この「奇跡」を読まずして何を読む!


新年レビュー、一作目にして、この幸福感。
久々に特大ホームランを打たれた感じと申しましょうか。
本作「脱水少女」の感想を書くにあたり、まず著者であるところの根本聡一郎氏には、一言申し上げたい。

ありがとうございます。

そして、本作は実はジャケ買いしました。
表紙担当のケルニー様にも御礼申し上げる次第です。

これは興奮冷めやらぬ内にこそ感想を書かねばということで、乱文はご容赦の程を。



舞台は東北の田舎町。
何の変化もない高校生活を過ごす主人公 樋口庸介の前に行き倒れの少女が現れる。
水を求める少女を介抱する庸介だったが、
その出会いが激動の運命をもたらすなど、その時は知る由も無かった。

後に少女が告げる戦慄の事実に、停滞していた世界が突如、動き始める。
老人が語り継ぐ町の逸話。史書に残る寓話は庸介に何を語るのか。
衝撃の運命が迫る中、庸介と親友達による誰に語られることのない戦いが始まる。
KDPに現れた奇跡の物語。

「脱水少女」を読まずして、何を読む!



本作を、一文で表すならば、『小さな小川が嵐に会い濁流になるも、最後は台風一過で爽やかな青空が映る水面を見る』という感じでしょうか(?)

まず、ジャンルは大雑把に言えばSFになると思います。
基本的には田舎の町が舞台ですので、出てくるモチーフは現実そのものですが、ストーリーの根幹を形成する設定はなかなかのSFっぷりです。
個人的に、この、何の変哲もない町の少年少女物語にSF要素が盛り込まれたストーリーと言うのが、大変ツボでございまして、この度の興奮にあい繋がった訳であります。

ストーリーは全て、主人公 樋口庸介の一人称視点で描かれております。
一人称系の小説が苦手な方もいるかもしれませんが、本作は、序盤のいかにも高校生らしい言動から一転、ストーリーが進行する中での彼の戸惑いや焦りなどダイレクトに感情移入できるので、逆に世界を楽しむ要素になっていると思います。

そして何より、丹念に作り込まれた構成こそが、本作の魅力を際立たせています。
ストーリーの本筋は割と王道感があるのですが、そこに行きつくまでの謎解きの様に貼られる伏線の見せ方がとても心地よいです。
地方にある伝説や寓話等も、SFとの掛け合いに際し、リアリティーを生む要素として実に良い味付けになっております。
また、表現として、モチーフ毎の見せ方に電子書籍ならではの表現法がありとても感動しました。
ストーリー上にそんな工夫が散りばめられておりますので、ぜひそこも楽しんでいただければ良いかと。


そして、それら練り込まれた物語を、庸介を含むキャラクター達の個性、言動で実にテンポよく綴られています。
キャラクターに関しては、色々と言いたいことが多すぎるのですが、とりあえず、庸介の親友 石丸をチェックすべき。そして、その類稀なる個性に存分に惚れれ。


Amazonレビューで「ムダがない」という素晴らしい表現がありましたが、まさしくその通りと思います。
大変、ムダなく最高に盛り上げてくれます。
ストーリー終盤の盛り上がりは本当に目頭に来ました。

・・・・・・石丸(´Д⊂) 
<何があった

この濃密な感じ、どこかで感じたなと思って思いめぐらしておりましたら、「ズッコケ三人組」を思い出しました。
そういう意味では、児童文学としても十分通用するかもしれないという内容かと思います。


色々とまとまりなく書き連ねましたが、
とりあえず、読んどけ。
KDPでなんか面白い小説が読みたかったら、読んどけ。
損はしない。むしろ、読まないのが損だと思う次第です。



・・・

・・・・・・

興奮しすぎて忘れるところでしたが、
庸介の幼馴染であるところの、はづきという女子がいるのですが。

そのすばらしい勝気幼馴染っぷりに皆で惚れればいいと思う。
 <そして、いつも通りです。


作家さん情報(Amazon)

著者:根本聡一郎

公式twitter:https://twitter.com/Nemo_patitur

福島県いわき市出身。仙台市在住。
1990年10月20日生まれ。
東北大学文学部卒業後、学生時代からのNPO活動と並行して作家活動を開始。
東北を舞台にした物語を描く。
好きなものは幽霊と妖怪。SNS上に偏在する。

脱水少女
根本聡一郎
2014-03-01