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内容紹介(Amazon)

「ライトなラノベコンテスト(※)」二次審査通過作品!
※livedoor Blog&impress QuickBooks主催・2014年3月結果発表。
応募時よりもさらにパワーアップした作品をお楽しみください☆
本文にも表紙イラストを収録。挿絵は未収録です。

●よしなが酒店クロニクル
   ヒロインは未亡人(10才)

<あらすじ>
2013年11月、小学生の高木亨の元に金色の錠前が届く。それは1985年への扉を開く道具だった。
いつもの公園はいつもと様子が違い、2013年では寂れている「よしなが酒店」は賑わっていた。
1985年の公園で、亨はオーちゃんやサユと出会い、未来を変えることができるのかも知れないと奔走する。

<審査時の講評より>
ノスタルジックな雰囲気がよく表現されている。テーマが一貫していて、舞台設定、人物設定、小道具の使い方もとてもうまい。
描写力が非常にある作家。天性のものでしょう。

<著者>
山田 佳江(やまだ よしえ) 
1974年生まれ。福岡県出身。インターネットの片隅で小説を書き続けて十数年。代表作に「未来少女ミウ」「リーディング・ナイフ」など。主な燃料は卵かけご飯。
公式サイト http://yo4eyamada.wordpress.com/
ツイッター @yo4e

<表紙イラスト>
okadaerk



1985年、よしなが商店と子供たちは、今よりずっと鮮やかに見えた。 


「タイムトラベル」と言われると、何故か「タイムパトロールぼん」のピラミッドの中でのキスシーンを思い出してしまう訳ですが、自分だけではないと信じてググってみると「タイムパトロールぼん キス」が検索候補で上がってきましたので、日本はまだまだ大丈夫という希望が湧きました(?)


さて、「よしなが酒店クロニクル ヒロインは未亡人(10才)」でございます。
作者は言わずと知れた山田佳江様です。
これまでにも数々の作品でお世話になった訳ですが、今回はまず、このタイトルにやられました。


「よしなが酒店クロニクル ヒロインは未亡人(10才)


・・・ゴゴゴゴゴゴ・・・(戦慄の音)

こ、これはもう、とりあえず読むしかないじゃないですか!
ねえ!ヒロインが10才で未亡人とか!
一体どんな禁則事項なストーリーなんだと期待して拝読した訳なのですが。

勿論、そんなお話ではありません。<当たり前です。



「よしなか酒店」
それは、近所でもあまり評判のよくない、寂れた薄暗い酒店。
いつも不機嫌そうな店番の女性に、昼間から酒を呑む大人達。
主人公、高木亨はその色褪せた世界を遠巻きに見ていた。

だが、突然送られてきた錠前を手にした瞬間、亨の目の前に、時の扉が開かれる。

―1985年、よしなか酒店は活気で溢れていて、
近くの公園には見覚えのある子供達の姿があった。
それは、まだ翳りの無い鮮やかな少年時代を過ごす大人たち。

28年後の彼らの姿を知る亨は、未来を変える為に立ち上がるのだった。



本作品は、1985年と2013年の世界を舞台にして、
この2つの時代をタイムトラベルができる様になった主人公 亨が、
大人たちの現在を変える為に、色々奔走するお話となっております。

タイムトラベルをテーマとした話はよくありますが、この様に限定的に時代を行き来するという切り口はなかなか斬新でした。

何故、自分がタイムトラベルできるのか、また、どうして決まった時代だけなのか、
最初こそまさしく手探りの様な感じで時代を行き来する亨と一緒に悩んでみた訳ですが、

キーとなる「想い」というワードが出た瞬間に、成程なあと氷解しまして、
そこから勢いよく終わりまで回るストーリーが、大変心地よく感じました。

また、ストーリーの肝となる時代の描写が秀逸でして、
現在のよしなが酒店の陰鬱な空気感と、そこにいる大人たちのマイナスオーラな感じ。
子供達の遊び道具や流行に見る時代の描写。
どこかノスタルジックでセピア調の世界観。
この辺りの全体的な空気感の出し方はやはり上手いなあと。

変哲のない日常を描きつつ、どこかシリアスで生々しい空気感でありながら、所々でクスッとくる描写も織り交ぜてくる感じは、まさしく山田作品の妙とも言えましょう。

元が連載物の為、章の区切りが多い訳ですが、逆にこれはこれでさっくり読めた気もします。


本作は「ライトなラノベコンテスト」応募作品ということで、タイトル的にもストーリー的にもラノベ調ではありますが、個人的には文学作品と言っても通じるというか。
もうこの際ジャンルは「山田佳江作品」と言ってしまっても良いんじゃないかと思った次第です。


取り敢えず、okadaerk様の表紙に釣られて読めばいいと思います。



そして、少女時代のサユを存分に愛でればいいじゃない。<結局台無し




作家さん情報(Amazon)

著者:山田佳江
公式ブログ:http://yo4eyamada.wordpress.com/
Twitter:@yo4e