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内容紹介(Amazon)

近未来の日本、若者による老人襲撃事件が頻発していた。殺人、傷害、放火と若者の暴走は止まることを知らない状況だった。
剛蔵はチェス仲間の哲学者と暗澹たる思いを共有していたが、そのような若者の暴走に対するアンチテーゼとして「ぼくらは老人殺人団」を結成した。メンバーには銃器の扱いに慣れた自衛隊や警察出身者がいて、彼らが実行部隊となって二十歳以下の若年者をターゲットとした襲撃作戦を開始した。順調にはじまった作戦だったが、メンバーの一人が暴走し、予想外の展開を見せはじめた。


時代の狂気が、老人たちの狂気を呼び覚ます。


昨今、高齢社会なんてよく聞く言葉ではございますが。
難しい話はさておき、地元の80代のおじいちゃんが最近パソコン教室に通い出したという話を聞いて、リアルコンピューターおばあちゃん時代だなぁと、感慨深い今日この頃です。
どうあれ、この高齢社会には色々と問題もある様ですが、せめて身の回りのお年寄りは大切にしたいと思います。



さて、「ぼくらは老人殺人団」でございますが。


読了後の感想は一言。

「恐い」


この怖い、というのは純粋に恐怖という意味だけでなく色々な意味で。

取り敢えず、世界設定の時点で思わず、著者でありますところのゲルストル様に「これフィクションですよね。フィクションでいいんですよね!」と念押し確認したくなりました。

「ぼくらは老人殺人団」という、雰囲気ちょっとライトな感じのタイトルに騙されていはいけません。


思う以上に深刻かつシリアスなお話となっております。


老年層の増加に反比例して、減少していく若い世代達。
労働力の低下は経済不安に繋がり、何時しか若者達にとって、老人達は世に蔓延る害悪に成りかかっていた。
妻に先立たれ、少ない年金の中で慎ましく暮らしていた剛蔵は、日々ニュースに流れる若者による老人たちへの容赦ない迫害、そしてその蛮行を許容しつつある世の中に対して陰鬱な思いを抱いていた。
そんなある日、日頃の話し仲間であった老人が若者の手によって撲殺される。
老人の言われ無き死。その無常に捉われる剛蔵に、チェス仲間の"哲学者"から一通の封書が届く。

それが老人達による決起の始まりである。

それぞれの思いを胸に、復讐を誓い集う老人達。
"若さ"を対象に繰り返される襲撃。
その死は、老人たちの歯車を徐々に狂わせ始める・・・


ストーリー前半の、近い将来、日本がこんな国であっても不思議ではないと思わせるフィクションとノンフィクションが配合された絶妙かつ強烈な社会・風景描写。
自分が高齢になったその時に、こんな未来だったら・・・と思わずガクブルです。

内容からも分かる通り、所々に、やや刺激の強い表現もありますが、それは世界観を象る重要な要素でもあります。
そして、後半に入り、襲撃を通して狂い始める老人たちの静かな恐怖。

なんと表現すれば良いでしょうか。
手塚治虫世代の漫画にある様な、正義の狂気というか。
結局、花火は打ち上がるけど消えて、ろうそくはただ明るく燃えて消えるというか(?)

学校の図書室で、手塚治虫の火の鳥を読んだ後の気分というか(??)


色々分かり難くなってしまいましたが・・・、

少なくとも、これまで読んだKDP作品の中でも衝撃的な作品であることは、お伝えしたい次第です。




作家さん情報(Amazon)

著者:ゲルストル



※筆者のゲルストル様の情報が見当たらず、もしご存知の方いらっしゃいましたらぜひご連絡ください!