内容紹介(Amazon)
たとえ悪魔と契約してでも、美少女になりたい——三十歳の誕生日を迎えた童貞系男子、加藤椎作。彼は失意の中、火のついた蠟燭をケーキに立て、ふと呟く。
「時よ止まれ、僕は醜い……」
それは悪魔を呼び出す呪文であった。悪魔の手ほどきによって美少女となった彼は、そのままの勢いで魔王軍に雇われる。彼に課せられた任務は、ダレイオス女学院に潜入し、聖少女の力を奪うこと。待っているのは、幸福な世界か、それとも……
約194ページ(文庫サイズ 39字×18行)
※ePubからのファイル変換の都合上、初期ページが目次になってしまうようですが、1ページめくっていただければ正しく最初のページからお楽しみいただけます。
そしておっさんは、少女になる。
純潔を守り30歳を超えた男性は魔法が使える。
このましとやかに囁かれる都市伝説の様な話ですが。
自分の近辺にもそろそろホグワーツ魔法魔術学校からお呼びの掛りそうなハリーポッターがたくさんおります。
多分、そこにはハーマイオニーはおりませんが。
そんな訳で、『魔法中年っ!』です。
はい、「今更かよ」というツッコミは無視する方向で。
言うまでもなく人気作品ですので、今更レビューしなくてもいいんじゃないかっていう名作でございます。
で、気になる内容なんですが・・・。
・・・正直、読む前は誠に勝手な先入観で、
おっさんが童貞こじらせて魔法を使えるようになったので超美少女になって女子高でウハウハでござるの巻
という話だと思って
今は、そんな自分の浅はかさと愚かさを責めるばかりです。
まずこの作品、普通にプロ級と思っていいです。
アマゾンのレビューが高評価なのも納得です。
皆さんも今までに1度くらいは「もし、頭は今の状態で学生からやり直せるとしたら?」という事を考えた方もいるかもしれませんが、この『魔法中年っ!』はそんな「もし」を題材にして、もっと普遍的な人間の欲というものに焦点を当てている作品の様にも感じました。
平和なお嬢様学園の裏に潜む、『放課後の悪魔』の存在。
クラスや部活の個性的なキャラクター達との出会い。
誰もが認める美少女になり、容姿コンプレックスが無くなった主人公は、最初こそ学園生活を楽しむ訳だが、次第に少女達と仲を深めるにつれ、逆に罪悪感が芽生え始める。
彼女らが仲良くしてくれるのは、この容姿のお陰ではないか、と。
結構、ネタバレ気味になってしまうので、詳しく書く事はできませんが、
この一連の欲が生み出す業こそ、この物語の深いテーマなのではと愚考した次第です。
と、重々しく言いながら、勿論、何となくタイトルからも滲み出ている通り、随所に萌えポイントやコミカルな描写があり、主人公の1人称形式で進む文体はとても読みやすいです。
キャラクターや魔法の名前等、良い意味でのやってやった感が、何とも古式ゆかしい感じもします。
ジャンル的には、ライトノベルと言っても差し支えないと思います。
読んで損はない。むしろ読むべき。ていうか読んどけ。
そんな一冊でございます。
あと、表紙イラストも皮算積人様ご本人の手によるものかと思いますが、
ごっつい好きです。
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著者:皮算積人公式ブログ:http://grayscale.main.jp/blog/
twitter:https://twitter.com/LilGiantPanda
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