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内容紹介(Amazon)

習作短編を6つ詰め込んだ短編集。6ピースの小さな物語です。

<収録作品>
1.コーヒーとパンケーキ
青年&少年カップルのどこかとぼけた会話を楽しむライトなボーイズラブ。
約3500字。

2.雨の夜のフリークス
俺の友人は吸血鬼だった。オフビートなユーモア綺譚。
約4000字。

3.ア・ピース・オブ・ケイク
中年に差しかかった男と男子高校生のドライブ、その車中風景の1コマ。
約3500字。

4.サントリーニの犬
ギリシャへと単身で出かけた19歳青年の一期一会たち。旅行記風の物語。
約9000字。

5.春色ボタン
卒業式当日、高3男子の小さな恋の行方を描く。
約6000字。

6.キューバとセックスとカルチャーショック
無愛想な大学生と、ちょっぴり変わった高校生、同性カップルの夏の午後を描いたボーイズラブ。
約8000字。



淡く静かな同性愛を描く短編集


本書「ア・ピース・オブ・ケイク」はいわゆるBL作品です。
当方、男性であるが故にボーイズラブというジャンルについては存在そのものは知っている物の、遠い存在でありました。
・・・思い起こせば、昔クラスの女子がジャンプの「封神演義 」の妙に薄っぺらい本を見せてくれたのが始まりであったでしょうか・・・<遠い目で <そしてちょっと違う気もする

しかし、このBLというジャンル。
単純に「=極端なホモセクシャル的行為」を描くものなのか、と。
ただの解釈の問題かもしれませんが、それは「同人=エロ」という位、極端なイメージと思います。
人間の心理を描く作品、とりわけ社会派作品において、同性愛者というモチーフはしばしば登場します。
そこに登場する彼らの心理はとても重く、また考えさせられるものがあります。
個人的には、読み物ではありませんが、アメリカの伝説的ミュージカル『RENT』に登場する同性愛者達の持つ、強力な個性と苦悩、そして強さに感動したのを覚えております。

さて、実のところ、「ア・ピース・オブ・ケイク」については、その表紙デザインとタイトルに興味を持ち、読み始めた作品です。
そして、読み進めた途中で、ジャンルがBLと言うことに気付いた訳ですが、不思議と最後まで読めました。

一言で言えば、短絡的に「いわゆるBL」とは言えない、深い作品という印象がありました。

勿論、表現・モチーフにおいて、同性愛表現は多用されていますし、人によって好みは分かれるかもしれませんが・・・。

個人的に、この中の一話、『サントリーニの犬』は、大変興味深く読みました。
ある青年がギリシャを旅する中で、人々と出会い別れるという話なのですが、その中に葛藤というか、異国という現実を離れた中で、しかし静かに煩悶を重ねる心理描写とストーリーは、素直に面白いと感じました。
他の作品も全体的に静かな作風でありながら、描写が生々しいというか、記号的なBL/同性愛表現という感じがしないのが印象深かったです。


そして読了後に知った訳ですが、著者の晋太郎さんは、実際にゲイの方ということで。
成る程、であればこそ、描ける作品かと妙な納得がありました。



作家さん情報(Amazon)

著者:晋太郎

公式サイト:SLEEPING BAG
公式ツイッター:@shintarawl

ア・ピース・オブ・ケイクア・ピース・オブ・ケイク [Kindle版]
著者:晋太郎
出版:SLEEPING BAG
(2013-05-01)