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内容紹介(Amazon)

ひょんなことから頭上に太陽系を持ってしまった「わたし」は、そこの豆地球と呼ぶ惑星に住む人類と神様として交流を持つことに。でも「わたし」を敬う人々は必ずしも幸せになるとは限らなかった。
情熱的な愛。求める母性。知的探究心。神の一手。高き志。サイコな侵略者。
神への愛が織り成す、全六話の連作超短編集です。
話数こそ少ないものの、ボリューム的には前作を上回っています。


少女は、人類を見守る神となる

ある日、ふと自分の頭の上に天体が誕生し、その中の地球で人類が営みを始めた時、どんな思いでその人々と触れ合うでしょうか。
全知全能の神として人々に崇められるか、慈悲なる神として人々に愛されるか、怒れる神として恐れられるか。
ある意味で、それはその人の本質を見極める様な問いとなるかもしれません。

本作「惑星系女子」は、 そんな神様になった「わたし」こと女子と、彼女の頭の上に浮かぶ天体と人々の物語です。


少女のあたまの上には豆地球を含む天体と、そこに住む人々と文化があった。
時に人々は神を求め、声を上げる

神に愛を捧ぐ声、
神を母として仰ぐ声、
神を創造し知を欲する声、
神を師の様に慕い敬愛する声、
神に宇宙の果てで真実を乞う声。
少女はそれらの思いに応えるが、信仰の果て、人々は残酷ともいえる道を辿っていく。
人々の運命は神たる彼女をして計ることはできないのだった。
少女の成長と共に紡がれていく人類の歴史の先、侵略者の襲来は無情の結末を迎える。

それでも彼女は天体を見守っていく。そう、思う。




読了後、一言。

「深い」

物語は一人称の語り調で、抒情的な要素を含みつつ、「わたし」と人々の触れ合いが描かれています。
また、短編ということで文章量としては短いですが、その分、一文一文が丹念に選ばれており、短い中に凝縮された世界観を感じました。

取りあえず、『頭の上に天体がある』という発想は斬新というか、ありそうで無かったなあと感じました。
本作はあえて派手めな展開は抑えて静かな物語にされたものと思いますが、設定だけでみればそれこそ色んな可能性を秘めている設定だと思います。

テーマは『神と愛』という非常に重く深いもので、それぞれの歴史の中で、人々が神たる少女の言動に感化され、しかし何時しか翻弄されてしまう姿は、物悲しいというか、無常観というか、色々と思うところがあります。

あと、特に理由はありませんが、途中から無印良品の店内BGMを聞きながら読んでいました。
個人的な感想ですが、相性は異常に良かったです(?)


女性的な文章で読むのに疲れるということはありませんので、
ぜひ夜静かに読んでいただくことをオススメいたします。

オススメいたします。<大切なことなので

※もう一言!表紙のイラストは何気にラノベ的でクオリティー高くて好きです。むしろファンです。



作家さん情報(Amazon)

著者:猫春雨
2003年、漫画の原作者として執筆活動を開始。3作ほど漫画化される。その後、ウェブにふさわしい文章形態はと考え、2007年頃から超短編に取り組む。
作品は、小説投稿サイトと自サイト『ささやかな物語』にて発表。
2012年、樹立社ショートショートコンテストにて学園ファンタジー『転校予報』が5等星入賞。
2013年には、WEB文芸誌『窓辺』に参加し、怪奇幻想短編『十二支奇談』の連載を始める。

ツイッターにてツイッター小説を書くことを日課としている。

■リンク:

・猫春雨ブログ『fairy drop』
 http://blog.livedoor.jp/fairy_drop/

・WEB文芸誌『窓辺』
http://madobe.jp/index.html


イラスト:鈴村きりえ

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作者の猫春雨さん、やはりかなりキャリアのある方でした!

現在、角川Twitter小説コンテストに参加されているので、ぜひみんな応援すればいいと思います。

↓参加作品
俺とわたしのタイムライン

惑星系女子惑星系女子 [Kindle版]
著者:猫春雨
出版:断片家
(2013-04-20)