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内容紹介(Amazon)

奇妙な骨董屋で見つけた高価なキルトの謎。
心をピュアにする恐怖。

著者唯一のホラーにして、最後の作品。


「淡々とした筆致で怪奇と幻想の物語を紡いでいく。
年代物の骨董品の味わいには、過去の所有物の思いも含まれている。
身勝手な男に注がれた怨念が創り出した物語もまた、余計な邪念を捨て去った
ピュアな結末を迎える」(山前譲氏)


その物語は、夢か幻か

「欲をかく」の「かく」って漢字でどう書くのかと調べてみると、そのまま平仮名だそうです。
だからなんだという訳ではありませんが、日本語って不思議。

という訳で、本作「幻の骨董屋」でございます。
そもそも、作者であるところの司凍季さんは商業プロの方ですので、その作品クオリティの高さは折り紙付き。 むしろ、この様な方の作品もKDPで読めると思いますと、色々と慮るもございますが、一読者そして一KDPファンとして、純粋に嬉しい限りです。


事業が立ち行かず借金が嵩み、金のやり繰りに奔走する主人公。 ふと立ち寄った骨董屋の品々を見て、店構えに似合わない一品の数々、そして切り盛りする老婆がその価値も知らないという事実に驚く。
しかし、一番の驚きは、彼の借金を帳消しにするどころではない、高額のキルトの存在だった。
欲に目が眩んだのか、あるいはそのキルトの魅力に取り憑かれたのか、主人公はそのキルトを盗みだそうとするが・・・

本作はジャンルで言えばホラー作品となるでしょうか。
単純に幽霊や猟奇的描写が出てくる類のお話ではなく、どちらかというと世にも奇妙な物語にも似た、静かで不思議な世界観を楽しむことができます。
鮮やかに描かれる人物、物、状況描写は流石の一言。その夢に似た光景が、主人公が過去の業から生み出した幻想だと知ったとき、ドキリとします。

作品内容にもある「ピュアな結末」というのが、読む前は「どんな結末だ?」と正直イメージが出来なかったのですが、読んでみると「なるほどー」と思いました。何となくストーリーを通して「黒→白」になった様な感じ(?)と言いますか・・・。

春が終わり、桜が散りきった今日この頃。
この作品は今頃に読むと、ちょうどいいかもしれません。

オススメです!

作家さん情報(Amazon)

著者:司凍季
大分県生まれ。法政大学文学部日本文学科卒。
1991年島田荘司氏の推薦により『からくり人形は五度笑う』(講談社)でデビュー、好評を博する。
その後『蛇つかいの悦楽』(立風書房)、『毒のある果実』(角川書店)、『悪魔の水槽密室―「金子みすゞ」殺人事件』(光文社文庫)などの作品を発表。
本格派ミステリーを書ける数少ない女流作家として支持をえている。


司凍季 @toki9195 幻の骨董屋幻の骨董屋 [Kindle版]
著者:司凍季
出版:司凍季
(2013-04-05)