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内容紹介(Amazon)

犬吠埼一介の全集第一巻です。これまでに書き貯めてきた原稿を一冊にまとめました。

・そのたま! その銃弾が、確かにセカイを変えたのだ
 新感覚のスパイ小説。海の美しい港湾国家エルメデで、ニコルは平穏をかき乱す違和感
 を感じていた。いったい誰なんだ……? 日常を愛する男と、革命を望む男とがぶつかり合う。
 美しい女を賭けた、男と男の壮絶なるバトルの行く末はいかに……?! プロレタリア文学
 を下地に、エンタメのノリで仕上げた短編小説。

・蛮勇は世界を巡る
 22世紀。プロジェクト間競争が激化した未来。火星へと向かおうとする勢力が隆盛を
 極めていた。リーはそんななか、末端のプロジェクトリーダーとして、夢を具現させる
 機械の開発にいそしんでいたが……。不思議な女カグヤと出会い、彼の日常は激変する。
 新たな時代へと激しく移りゆくセカイのなかで、彼が選んだ結論とは……?!

・立方体都市
 セカイ系の幻想小説、3部作。売れない物書きの頭の中にある街、アイデアシティで働く
 文字たちの話。そこから抜け出した「一匹の犬と一匹の猫」が、認識のセカイを旅する話。
 そして、太陽を失った街で生きる子供たちが、光を取り戻していく話。ツイッター小説と
 いうジャンルです。「立方体都市」、「価値観戦争」、「クオリア」の3編を収録。

kindle版は税込100円。紙の本は税込500円です。

著者について
小学生のころから本と親しみ、10代を図書館で過ごす。創作物から多くを学び受け取ったのち、自らも
創作する側に立ちたいと望むようになる。20代で活動の幅を広げ、イラストサイトを7年間運営し同人誌
を創作。現在は文芸に立ち返り、各種イベントに出展するべく小説を書く。30代男性。


凝縮された密度ある世界系SF作品

本作「そのたま! その銃弾が、確かにセカイを変えたのだ」は、上記作品内容にもある通り、3部作による構成となっております。
ジャンルは大まかにSFエンタメですが、根幹のコンセプトがしっかりとしており、軟派な感じはありません。
全体的に硬派な文調ながら、時にコミカルな表現、台詞回しを用いることで、飽きや疲れを感じることはありませんでした。
著者である犬吠埼一介さんのご説明にもあるプロレタリア文学を下地にした作品「そのたま! その銃弾が、確かにセカイを変えたのだ」は、ストーリーの流れから各キャラクターの設定に至るまで、丁寧かつダイナミックに描かれており、犬吠埼さんのこだわりを非常に感じる作品です。

「蛮勇は世界を巡る」は、一見して「そのたま!」より更にエンタメ的な意味合いの濃い作品です。
使われるモチーフは「自由に夢を見る装置」、「火星移住」などSFとしては馴染み深いものですが、ストーリーはただのスペースオペラに終わりません。
特に作中で描かれる各勢力の大きな利害(この場合は金銭という意味合いだけでなく)を得るための行動は、今の社会問題に対して起きている運動活動に通じる気がします。

「立方体都市」はまさに新感覚のエンタメ性を強く感じました。
あまり見たことが無い作調の為、不思議に感じていましたが、「ツイッター小説」という単語で膝を打ちました。
短く区切られる独特の手法は、しかし作品のもつ幻想的な雰囲気と相まって、なかなか印象深い読了感となりました。


さて、上記「そのたま! その銃弾が、確かにセカイを変えたのだ」と、「蛮勇は世界を巡る」の2作品は、当然、ストーリーも舞台も設定も全く異なる訳ですが、主人公とヒロイン像にどこか同一の人間モデルを感じました。
これもまた、犬吠埼さんの持つ人間像のコンセプトの強さと、作品を楽しむ重要な要素と感じました。

ちなみにこのヒロイン像について、とても共感を持てましたので勝ち組です


作家さん情報(Amazon)

著者名:犬吠埼一介
小学生のころから本と親しみ、10代を図書館で過ごす。
創作物から多くを学び受け取ったのち、自らも創作する
側に立ちたいと望むようになる。

20代で活動の幅を広げ、イラストサイトを7年間運営
し同人誌を創作。現在は文芸に立ち返り、各種イベント
に出展するべく小説を書く。33歳男性。

「弱者に寄り添う言論、世界のリデザイン」がスローガン。
目標としている作家は西尾維新先生で、あんな風にとび
きり面白いエンタメ大衆小説が書きたいと思っている。
公式ツイッター


そのたま! その銃弾が、確かにセカイを変えたのだそのたま! その銃弾が、確かにセカイを変えたのだ [Kindle版]
著者:犬吠埼一介
出版: 犬吠埼一介
(2012-08-12)